Session 10のつづき

3. Brouwer's proof

retractionが存在しないことから、すべての連続なendomapに不動点が存在することが導かれることを示すには、不動点をもたない連続なendomapから、円から円盤へのinclusion mapに対する連続なretractionを構成すればいい。

つまり、不動点をもたない連続な円盤から円盤への連続なendomapの存在をまず仮定する。(本当はこんなものは存在しない。)
それを前提として使って、“円から円盤へのinclusion mapに対する連続なretraction”を構成できることを示す。
そうすれば、「連続なendomapが存在しないこと」の証明が、「“円から円盤へのinclusion mapに対する連続なretraction”が存在しないこと」の証明より自動的に導かれることになる。で、後者の証明の方が、より簡単であると。この、「retractionが存在しない」という条件を示すことは、他の状況を導くために便利に使うことができることが多い、そうだ。

j : C \longr Dを、円から円盤へのinclusion mapとして、 f : D \longr Dを、不動点を持たない円盤の連続なendomapとする。

中略

r j = 1 _Cとなるようなjのretraction rが求まる。

となる、と。

4. Relation between fixed point and retraction theorems

Excercise 1

 f(x) \neq g(x)とする。g \circ j = j
p.125と同じ要領で、g(x)がhead、f(x)がtailとなるarrowを描き、そのarrowが指差す方向の延長線上となる直線と円の交点を、r(x)
とする。xが、もともと円盤の境界線上に存在している場合、g \circ j = jより、g(x) = xとなるので、r \circ j = 1_Cとなり、rはjのretractionとなる。で、retraction theoremより、このような(連続な)retractionは存在しないので、背理法 f(x) \neq g(x)が誤りとなるので、f(x) = g(x)となる点xが存在することが示せた。
この、headとtailから、その延長線上の円盤の境界線上へのmapを導くというほうほうで、本当に連続なmapを構成できるかは、ここでは詳しく示されてはいない。ただ、headとtailがどちらも連続な写像であれば、xを連続に動かしたとき、その延長線と円の交点も、連続に動くであろうことは、イメージでき、それなりに納得できる。厳密な論は、この後。