Session 10

Conceptual Mathematics: A First Introduction to Categories
Session 10 Brouwer's theorems のメモ。
(参照 Bouwer's theorems )
Session 10は、"ブラウアーの不動点定理"とその他の関連定理の話。
ブラウアーの不動点定理は、

The theorem states that every continuous function from the closed unit ball D^n to itself has at least one fixed point.

http://en.wikipedia.org/wiki/Brouwer_fixed_point_theorem

ということで、たとえば 1\leq x \leq 2 とか、 x^2 + y^2 \leq 1のような閉区間からそれ自身への連続写像fは、不動点f(x) = xとなるようなx)を必ず持つ、ということのよう。
("closed unit ball" の定義は、http://en.wikipedia.org/wiki/Unit_ball より、
\{ x \in V :  ||x|| \leq 1}
(blogにこうやってメモをする目的は、学校でレポートを書くのと似てるかも。漠然とわかったつもりになって実はよく分かってないことを、”ちゃんとレポートに書け”と言われて、よくわかんないところを調べたり、考えを整理したりまとめたりするうちに、理解がすすむ、と。レポートの場合のように、先生がちゃんと内容を添削してくれたり採点してくれたりするわけではないけれど、「形(文章)にして出力する」というところと、「第三者が閲覧する"可能性がある"」ので自己検閲というか自分で内容をある程度チェックするので、ほどほどレポートのように機能する。つまりどうせ誰も見てくれないだろうけれど、もし万が一誰かが訪れたときに恥ずかしくないよう、また変な誤解を与えてしまわないよう、あんまり間違ったことは書かないようにしようって思うから。)

1. Balls, spheres, fixed points, and retractions

ブラウアーの不動点定理は、"トポロジー空間と連続写像のcategory"に関するものだが、今回の目的においては、
このカテゴリーに対する明確な定義・説明は不要だ。その代わり、'cohesive sets'(これの意味するところがわからない。位相空間の条件を弱めたものか?)と、連続写像位相空間における正確な連続写像ではなく、連続したものを連続したまま写像する、くらいの意味?)に関する経験をもとに、いくつかの公理を選択し、それをもとに定理を導こう。
カテゴリーを(トポロジー空間と連続写像の圏に)明確に特定しないことによる利点もある。今回導入する公理が真であるようなすべてのカテゴリーに応用できるし、事実そのようなカテゴリーはたくさんある。
最初に、ブラウアーの不動点定理を説明し、連続写像に関する直感をもとに、それがもっともらしいと思えるよう説明する。

(1) Iを、端を含む線分(閉区間)として、 f:I \longr Iを連続endomapとする。このとき、このmapfは、

かならず不動点 f(x) = xとなる点x)を持つ。

Iを時間の区間RをA地点からB地点までの道の区間とする。2台の車がこの道を走る。最初の車はAからBまで一定の速度で走る。この動きを"uniform" motionのuで、I \longr^u Rとする。
もう一台の車は、この時間内、この道のどこかから出発して、無目的に適当にこの道を走る。来た道を戻るのもあり。この車の動きを、
I \longr^m Rとする。
uは、invertible mapであり、 R \longr^{u^{-1}} Iが存在する。
これと、2台目の車の動きmを合成して、I \longr^f If = u^{-1} \circ mを作る。

このfがブラウアーの不動点定理のendomapになる。つまり定理を応用するためには、endomapとする必要があるので、IとRの間のinversibleで線形な対応を用意して、まずmからendomapを構成する。u^{-1}は、位置から、一台目の車がその場所を通過した時刻へのmapである。そして、fは、ある時刻tから、"そのとき2台目の車がいる位置"を一台目の車が通過した時刻f(t)へのmapとなる。
>>定理より、f(t)=tとなるようなtIの中に存在する。u^{-1}mt=tmt=utより、二台の車が、同時に同じ場所にいた時刻が存在する、ということになる。これは当然のように思える。最初の車は、AからBまでいき、二台目の車は、AからBの間のどこかに常にいたわけだから、いづれかのタイミングで二台が出会うのは必然だろう。
次の例では、線分の代わりに円盤を使う。線分の例より、少し自明でなくなると思う。